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今月のお話

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「突慳貪(つっけんどん)」・・・


一気に秋の気配に包まれたような10月。
陽射しや風の感触からはもう「夏の暑さ」を思い出すことはできなくなりましたね。
季節は確実に巡るものだとあらためて感じる次第です。

被災地復興も道半ばの、また台風一過の爪痕もいえないまま、迎えた「秋」。
本来なら収穫の喜びや自然の美しさを愛でつつ、最も心穏やかに過ごせる季節のはずが、
やはり切なさが拭えないものとなっています。
せめて、色づく樹々や黄昏の景色など身近な「秋」を心に留めたいと願いうばかり・・・。

さて、東電の損害賠償問題で、物議をかもしだした例の分厚い書類の件は記憶に新しいところ。
本国会でも問題になりましたが、あの突慳貪な企業姿勢になんとも悲しい気持ちになりました。
悲しみが癒えない方たちに対して辞書を片手に何をさせようというのでしょうか。
もちろん、膨大な書類には、それ相応の理由はあるのはわかります。
ただ、誰のために、何のための物事なのかを今一度考え、最良の方策を練り直して頂きたいものです。

突慳貪。

これは物惜しみするという意味の「慳」と、貪欲・我欲の心を表す「貪」、
そして強調する接頭語「突」がついた言葉です。
文字通り訳せば、ケチで強欲の意、一般的には、思いやりがなく、態度がつめたいことを表します。
特に貪は、仏教精進の妨げとされる三毒(貪=とん、瞋=しん=は怒る心、
癡(痴)=ち=迷いの心)の一つに数えられています。

企業や関係省庁の方たちが必ずしもそうだとは思いません。
しかし現場から離れるほどに、当事者意識は薄れがちになるもの事実でしょう。
顔の見えない「役職名という人格」が一人歩きしないよう、注視していきたいと思います。

寒暖の差が大きくなってきます。
お出かけの際はもちろんですが、お家の中でも体温調整には十分気をつけてお過ごしください。
当山のある奈良は、いにしえの歴史ロマン溢れるまちです。
晩秋は特に素敵ですから、どうぞ、足を運んでみてください。
ありがとうございます。


                                                     合掌

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