「一切皆苦(いっさいかいく)」・・・
あの未曾有の大震災から、1年が経ちました。
今なお、多くの方たちが避難生活を余儀なくされ、
行方不明の方の捜索も続いております。
あらためまして、犠牲になられた方たちに、
心より哀悼の意を表したいと存じます。
故郷を失い、家を失い、家族や生活のすべてを失うことの悲しみや苦しみはどれほどでしょう。
言葉ではとても言い表すことはできません。
命の儚さ、生きることの意味とは・・・。
そして満ちあふれる不条理に人はどう向合うべきなのか・・・。
尽くせない問いかけだけが日々を追いかけてきたように思います。
私たちは、あの震災から何を学び、どこへ向おうとしているのでしょうか。
一切皆苦。
「この世は苦しみに満ちていて、あらゆる物事はみんな苦しみの原因。」
というお釈迦様の教えがこの言葉に表されています。
たとえ、今が幸せでも、その幸せは永遠に続くものではなく、
またもっと大きな幸せを求めて、更に苦しみを招くこともあるということ。
立ち止まることを許さない市場原理、競争原理が、いつの間にか、人々を追い越して
気づかないうちに「苦しみの元」を積み上げてきたのかも知れません。
あらゆる執着を捨て去ることが大切であるという仏教の教えにならえば、
これから向う新しい時代は、決して暗いものではないと信じています。
問いかけながら、悩みながら生きる。そうして「今日一日」を大切に
生きることが、今導きだせる唯一の「こたえ」ではないでしょうか。
まもなくお彼岸です。
ご先祖様と向合える大切にときを
どうぞ、ご家族皆さんでお過ごしください。
最後に被災地の復興を心より祈念申し上げます。
ありがとうございます。
合掌